撚糸工程
■撚糸工程について
撚糸(ねんし)工程とは、原糸と呼ばれる数十本の細い繊維の束を、縫い糸にするために撚り(より)を加える作業のことです。
この撚糸工程では、下撚り(したより)と上撚り(うわより)と呼ばれる二つの作業を行います。単純に一方向に糸を撚るだけでは、撚りが戻ろうとする力が働き、糸筋が安定せず糸が割れてしまいます。そのため下撚りした糸を2本以上合わせて下撚りと逆方向に上撚りすることで、丈夫な一本の糸に仕上がります。
撚糸を行うことで以下の性能を向上します。
・縫いやすさ(ミシン縫製などが容易になる)
・扱いやすさ
・耐久性(摩耗に強くなる)
フジックスでは、お客様の要望に合わせた品種ごとの撚糸設計を自社で行い、この設計に基づいた生産を協力工場とともに行っています。
■従業員は力持ち
撚糸工程の作業の中には40kgほどもある段ボール箱をいくつも運ぶような力仕事もあります。大変なのはこの段ボールを腰よりも高い位置にある作業スペースに載せる時で、通常二人一組で作業していますが、それでも腰にかなり負担がかかる作業でした。
そこで、撚糸工程では従業員の力仕事の負担を軽減するために手押し式のリフトを導入しました。
リフトを使用することにより、体力面での負担軽減だけでなく、ペアとなる従業員が欠けても、他の従業員に迷惑をかけず納期を遅らせないという安心感を得ることにより、日頃の作業に対する集中力が高まっています。
今ではリフトも撚糸工程の欠かすことができない一員です。 |
■日々改善活動を行っています
撚糸の準備作業として「巻き取り」という作業があります。この巻き取りを行う機械は同じ条件設定していても、軸によってごく僅かですが巻き取りの長さが異なってしまいます。
撚糸作業はこれら巻き取りを行った糸を2本以上合わせて撚り合わせますが、長さの違う糸同士を合わせると、最後に糸の長さが合わない分のロスが出てしまいます。
このロスを少なくするために、巻き取り機の同じ軸で巻いたもの同士を合わせるという決まりを設け、少しのロスも出ないように日々心掛けています。 |
■品質は厳しく、自分にも厳しく
年々、品質に対する要求が高くなっており、従業員の検査の目も厳しくなっています。撚糸工程の従業員の中には、休みの日に手芸店などで並んでいる糸の糸筋をチェックしてしまう人もいるそうです。日々厳しい目で作業をしているからか、ぱっと見るだけで撚糸の良し悪しがわかってしまうのだと言います。自分の作った製品で不良品が出てしまったらと思うと怖くなり、検査の目がより一層厳しくなるそうです。 |
■こだわりの白さです
フジックスの色へのこだわりは、原料が入荷された段階から始まっています。
それでも、何らかの理由で糸の表面に汚れが発生してしまった場合は「スプレーガン」と呼ばれる道具が活躍します。これは、強力な水鉄砲のようなもので、対象の表面の汚れを狙い撃ちにして落とします。
吹き付ける溶剤は専用の「しみ抜き剤」で、作業員は手袋やゴーグル、マスクなどの防護具をきちんと着用の上、換気扇の前で作業を行っています。
こうしてとことん白さにこだわった糸だから、正しい色に美しく染め分けることが可能なのです。
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